法話グランプリ出場僧侶が語る、聴くことの大切さ│舟川智也さんインタビュー<前編>
お坊さんに人は何を求めるのか?
H1法話グランプリでの布教の様子
――宗派を超えた布教大会「H1法話グランプリ2021」出場について、教えてください。
舟川:「もう一度会いたいお坊さんを決める」というコンセプトの大会でした。予選の段階では13宗派ほど参加されたと聞いています。私はある先輩住職から出てみないかと勧められて、これも勉強になるかなと思って出場を決めました。
話のテーマを決めるにあたって、お坊さんに人は何を求めるか考えた結果、そのとき出た答えは先ほど話した「聴く」ということでした。そこで、ご門徒さんの悩みに向き合う話をしました。
すると、予選段階において、新聞社の記者さんやテレビ関係の方などの一般の審査員の方々からの好評を得て、本戦に進出できたようです。また、本戦においても審査員のいとうせいこうさんや、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんなどが評価して下さいました。グランプリではありませんでしたが、やりきれたと思います。
会場は奈良県の「なら100年会館」というところで、最大収容人数の半分の750名が定員だったのですが、チケット発売から2~3週間でソールドアウトでした。通常の布教大会ではそんな大騒ぎにはなりません。どういう伝え方をすれば世間は興味を持ってくれるかを考え、見せ方を工夫することは大事だとあらためて思いました。実際、20代、30代の来場者が多かったのが印象的でした。
彼らは仏教に興味がないわけではなく、部外者がお寺に行ってはだめと思っていたりします。そのため、ホールで宗派を超えた話を行うと参加しやすかったのだと思います。また普段は触れることのない色んな宗派の教えを知ることができます。興味深いイベントだったと思います。このイベントを通して僧侶同士も宗派を超えた相互理解をすべきだと感じました。ときおりSNS等で仏教徒同士がけなしあっているのを見かけますが、直接話して、相手を知ればそのようなことはなくなると思うからです。交流は大切です。
他宗派のお坊さん方との布教大会の様子
インタビューは後編に続きます。
お寺はいろんな人が集まるコミュニティハブ│舟川智也さんインタビュー<後編>