改めて考える、月忌参りのあり方とは?|京都府法行寺 熊本博史さんインタビュー<後編>
京都府法行寺 熊本博史さんへのインタビュー。後編となる今回は、熊本さんが注力されている「月忌参り(がっきまいり)」というご活動についてお伺いしました。インタビューを通して、月忌参りのあり方を考えるとともに、現代社会を生きる僧侶にはどんなことが求められているのかを紐解いていきます。
「月忌参り」とは?
(画像提供:熊本さん)
――そもそも、「月忌参り」ってなんですか?
熊本博史さん(以下:熊本):月忌参りとは、毎月亡くなった方の御命日に、我々僧侶がご遺族の方のお宅へ訪問し、おつとめをする習慣のことです。「月参り(つきまいり)」とも言います。私が所属している法行寺では月忌参りも行っており、日々大切におつとめさせていただいています。
――日々の月参りで、大切にされていることを教えて下さい。
熊本:できるだけ一件あたりの時間を長く取るように心がけています。月忌参りの場合ですと1時間ぐらいですね。長い場合は1時間半ぐらい確保することもあります。
一般的な月参りの時間に比べると長いようですが、私が専業で僧侶を務めている上、月忌参りは平均して1日に2件程度なので、多めに時間をとってもスケジュール的には十分余裕が確保できています。
――月忌参りはどんな流れで行われていますか?
熊本:お宅へ訪問して、まずは正信偈のおつとめを30分で行い、その後は30分ぐらいお話をするという流れが多いです。ただ、中にはおつとめの前に30分ぐらいお話しすることもあり、その場合は最初の30分でお話をして、その後30分で正信偈をおつとめし、また30分お話をして……という流れになりますね。
訪問してご挨拶をする時に「最近はお変わりございませんか?」と投げかけると、いろんな話を切り出してくださります。家族のことや子どものこと、孫のこと、病のこと……お仏壇のお蝋燭に火をつけながら、お話をお聞きしています。今日こそは先におつとめするぞと思ってお参りに臨むものの、蓋を開けてみると30分ぐらい話し込んでしまっていた、ということも往々にしてあります(笑)。