広大な楽しみである「解脱」【釈尊のことば】
広大な楽しみである「解脱」【釈尊のことば】
(本願寺新報 2016年(平成28年)2月1日(月)号より)
読者の皆さんにとって、喜びって何でしょうか?
この問題に関して2000年以上も昔から、さまざまな「しあわせ」が考えられてきました。
中国の人びとは「福(ふく)・禄(ろく)・寿(じゅ)」と言い表しています。「禄」というのは、もともとは官僚試験に受かってもらう給与、俸ほうろく禄のこと。「寿」は長寿のことで、長寿がことさらに重視された中国では、不老長生(ふろうちょうせい)をめざす修行者がいたほどです。「福」というのはいわゆる幸福のことで、健康や子孫に恵まれることなど、さまざまな内容を含みます。
インドでは、「正義(ダルマ)」「財産(アルタ)」「欲望(カーマ)」に、「解脱(げだつ)」を加えた4つが人生の目的とされました。人生の目的に「解脱」が入っているのは、おそらく世界の文明、文化のなかでもインドだけではないでしょうか?
そういう文化的な土壌が釈尊を生みだしたのですね。さて、偈(げ)に戻りましょう。私たちは日常生活の中で、さまざまな願いや希望をもって生きています。そのこと自体は必ずしも悪いことではないと思います。でも、「諸行無常(しょぎょうむじょう)」のこの世界は、私たちののぞみ通りにはいきません。それで私たちに苦しみや虚(むな)しさがおそってくるのでしょう。
だからこそ釈尊は、世間的な価値観を超えた解脱を実現されたのです。そして阿弥陀さまは、苦悩の世俗世間から抜け出ることのできない私たちを、すくい取ってくださるのです。それを大きな楽しみとして味わえる人生を送りたいものです。
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