すべて形成されたものは無常【釈尊のことば】
すべて形成されたものは無常
(写真:AC)
(『本願寺新報』 2015年(平成27年)6月20日(水)号より)
〝すべて形成されたものは無常なり〟とは、ご存じ『平家物語』冒頭、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり」とある「諸行無常」のもともとの表現です。
「行」とは、梵語では「形成する力」、さらに「形成されたもの」を意味しています。ここでの行は形成されたもの、諸行とは私たちの存在をも含めた世界に存在する一切のものごとと理解しておきましょう。
また「無常」とは、永遠ではない、さらには一瞬も留まることなく変化し続けているということです。この「諸行無常」という考えは、縁起と並んで〝すべて形成されたものは無常なり〟と かくのごとく智慧もて知らば ひとは苦からとおく離る これ清浄への道なり (ダンマ・パダ277 偈)仏教の世界観の最も基本になるものです。
私という存在も含め、すべてこの宇宙の開闢(かいびゃく)以来、一瞬たりとも留まることなく生成と消滅を続けており、しかも、空間的にはその一瞬ごとにあらゆる存在が相互に関わり合い縁起的に存在しているのです!
さて「諸行無常」は、『平家物語』の表現からも知られるように、日本文化のなかでは、人生の虚しさや世の中すべての物事の移ろいやすいことを表現する代表的な言葉になってます。また、「いろは歌」の「色は匂へと散りぬるを 我が世 誰ぞ常ならむ」も「美しい花々は香(かぐわ)しく咲いているけれど、あっという間に散っていくように、私たちが生きているこの世界で、いったい誰が、何が変わらずにあろうか」と、「諸行無常」の思想を大和言葉で表現したものです。
この言葉、本来は覚(さと)りの智慧によって見抜かれた世界の厳然たる在りようを意味していたのですが、私たち日本人には、ずいぶんと情緒的なはかなさの響きがあるようです。
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