「評価を気にしなくていい。安心できる居場所はお寺だった」せいざん株式会社池邊文香氏インタビュー<後編>

大切なご縁をしっかり管理。「クラウド管理 寺務台帳」の取り組み

 
ーーお寺にできる工夫はどんなものがあるでしょうか?
 
池邊:よりローカルに地域の中でお寺の存在を知っていただくことが大事だと思います。寺報でお寺の取り組みを発信し、親近感を感じていただくことが定番の方法ですね。また、檀信徒さんの普段の状況を知っておき、高齢の方には葉書、若い方にはインターネットで仏事のご案内をするなどの、きめ細かなコミュニケーションが大事だと思います。
 
法要の件数よりも法要依頼率を上げることに注力してはいかがでしょうか。また、お寺が、一家の当主としかつながっていないのは問題だと思います。家族も個人化している時代です。若い世代の方とLINEの交換をしておくと良いと思います。帳簿に次世代の方々も記録して連絡を取れるようにしておくことが欠かせません。そのような問題意識で、弊社では檀信徒の新規のご縁をカルテ化するために「クラウド管理 寺務台帳」を開発しました。
 

 
ーー「クラウド管理 寺務台帳」について詳しく教えてください。
 
池邊:「寺務台帳」は、オンライン上で檀信徒との関係を記録するシステムです。これは寺檀関係を深める支援が目的です。現状として、お寺はやることが多く、僧侶や寺族の方はとても忙しいと思います。法務を行いつつ、寺務作業をこなし、新たなご縁を増やすには中小規模のお寺は忙し過ぎるのです。
 
檀信徒さんの情報をきっちりと把握しようと思っても、記憶力には限界がありますから顔と名前が一致しないこともあるでしょうし、僧侶・寺族間の共有漏れ、記録方法があちこちに分散してしまうなど、一筋縄ではいかないのが現実です。そこで「寺務台帳」に、法要・葬儀記録、相談記録などを丁寧に残すことをおすすめしています。
 
記録をしておくと、気付きが出てきます。たとえば名簿を、おひとりさまや次世代で絞り込むこともできるため、きめ細やかなケアをすることで離檀リスクを抑えることができます。実際に私たちが関わらせていただいているお寺で活用し、檀信徒からの連絡件数や、法要の依頼件数がアップしました。今は共に取り組んでくださる僧侶のみなさまに導入していただき、お寺の寺務や活動支援を中心に行っています。
 

「寺務台帳」の特徴

 
 
 

必要とされるお寺のサポートを

   

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掲載日: 2021.10.14

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