お経の世界にダイブしよう。VRを活用した新たな試み|VR伝道ー島根県蓮敬寺
VR機器を装着した様子(画像提供:冨金原さん)
日進月歩の世の中。私たちが使うパソコンやスマートフォンといった情報通信機器も、日々進化を遂げています。また、仏教の伝え方もそれに合わせて変化しています。
今回は、”VR”と呼ばれる最新技術を用いて、仏教を伝える試みを行う、島根県蓮敬寺の冨金原 真慈(ふきんばら・しんじ)さんにインタビューしました。
VRとはどんなものなのでしょうか?また、VRにはどんな可能性が秘められているのでしょうか?
VRって何だ?
ーーそもそも、VRって何ですか?最近はテレビなどでもちらほら聞きますが……。
冨金原真慈さん(以下:冨金原):VRとは、Virtual Reality(バーチャル リアリティ)の略で、日本語では「仮想現実」や「人工現実」と言われています。VRゴーグルと呼ばれる、スキーのゴーグルのようなものを目に装着すると、視界全体が映像で覆われるようになっています。現実の景色は見えなくなるため、まるで自分自身が映像の世界に飛び込んだような感覚を覚えます。
ーーどういったきっかけで始められたのでしょうか?
冨金原:新型コロナウイルス感染症が拡大して、ちょうど政府の1度目の緊急事態宣言が発出されていた頃、法事やお寺の行事ができなくなりました。寺café SARAも休業を余儀なくされたときに、私が関わっているサイバー南無南無(*1)というグループで何かインターネット上での活動ができないかなと。方法を模索した時にVRコミュニティというものをサイバー南無南無代表の河野円(こうの・まどか)さんが見つけてそこで活動しようということになったのがきっかけです。
まずはVRの空間にお寺を建立しようと思い、3DCGの勉強を始めました。
1杯のコーヒーから、いっぱいのご縁を|寺Café SARA―島根県蓮敬寺
ーーどういった手法で制作されているのでしょうか?
冨金原:Blender(ブレンダー)と呼ばれるソフトで3Dモデルを制作して、Unity(ユニティー)と呼ばれるソフトでVR空間3Dモデルを「VR chat」や「クラスター」という、ネットの仮想空間にアップロードします。そうして出来上がった空間で、「アバター」と呼ばれる仮想空間での自分人形を通して交流していく、という仕組みです。ユーザーの人口が増えるにつれて、コミュニティが出来つつあり、徐々に注目を集めています。
ーーVRゴーグルって、どんなものですか?
冨金原:VRゴーグルにもいくつか種類があるのですが、私が持っているのは「オキュラスクエスト」と呼ばれるVRゴーグルで、コントローラーが付属しています。コントローラーのボタンやスティックを操作して、仮想空間の中で移動したり、アクションを起こしたりすることができます。
コントローラーは実際の手の動きと連動していて、コントローラーを持ち上げるとアバターの手も上がります。なので、手を振ったりジェスチャーをすることも可能です。もちろん、VRゴーグルも実際の身体の動きと連動しているので、首を縦に振ればアバターもそのように動きます。こうした機能があるので、実際に人と対面しているような感覚を得られるんです。