お経の世界にダイブしよう。VRを活用した新たな試み|VR伝道ー島根県蓮敬寺

 

「お経典にダイブ」?VRの可能性は他にもたくさん

 

3Dモデルで再現された寺院内部の様子(画像提供:冨金原さん)

 
――今後、VRはどうなっていくと思われますか?
 
冨金原:VR chatは近年、同時接続数が24,000人に達したという情報があり、まだまだ小さなコミュニティではありますが、昨年にFacebookが社名をMetaに変えて本格的にVRなどの仮想空間事業への参入を発表して、徐々に規模が大きくなりつつあります。
現在では家電量販店でもVRゴーグルを購入できるようになったそうです。これから本格的にVRが普及するのではないでしょうか。
 
近い将来、画像や映像はもっと綺麗になり、アバターもどんどんリアルなものになると予測されています。
また、現在は次世代通信規格である6Gの開発も進められているようですし、スマートフォンといったモバイル機器でVRができるようになれば、昨今、気軽にオンラインミーティングが行われているのと同じように、「今度はVRで打ち合わせをしましょう」といった具合に、日常的にVRが使用されるようになるかもしれません。
 
――そんなVRを活用して、どんなことをしてみたいと思われますか?
 
冨金原:VRでの疑似体験を通して現実の法座につなげていきたいと思っています。具体的にどうつなげるかは模索段階ですが、先程申したような西本願寺でのオフ会(団体参拝)も一案です。
そのためにも、まずはVR空間の中にお寺を建立し、コミュニティを作り、その中で色々と試行錯誤をしないといけないのかなと思います。まだまだ道半ばです。
 
――病気などで、お参りに行きたくても行けない人にも届けられるかもしれませんね。
 
冨金原:確かに、それもできるかもしれませんね。例えば、仮想空間に西本願寺を建立し、病気などでお参りに行きたいけど行けない人達にVRゴーグルを装着してもらい、VR空間の中で西本願寺にお参りいただいて、そこで僧侶との交流や法話を聞くといった企画ができるのではないでしょうか。
 
――多くの可能性を秘めているのですね。
 
冨金原:VRの可能性はまだまだあります。仏像を3Dモデルで表現すれば普段見られない仏像の裏側をお見せすることもできます。もしかすると、化仏を表現したり、極楽浄土だって表現できるかもしれません。
 
まさに、「お経典の中に入る」という感覚でしょうか。今まではお経典という平面で表現していたものを、3Dという立体で表現することができるようになります。もちろん、その段階に至るまでに技術面だけでなく、教学的なことなど多くの議論が必要かもしれませんが、もしかすると「体験として」お経を味わってもらう未来が待っているかもしれません。
 

編集後記

 
今回は、新たな技術であるVRを用いて、仏教を伝える試みを行う冨金原さんにお話を伺いました。その中で、
①VRは表現の自由度が高く、多くの可能性を秘めている
②仮想空間で充実感を得られると、現実世界で会いたいという欲求が生まれる
③VRの特徴を生かして全国の寺院と協力し、法座へのご縁作りをしたい
ということを教えていただきました。技術の進歩に伴い、今後はもっと普及するかもしれないVR。その展開が非常に楽しみです。

   

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掲載日: 2022.01.24

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