葬儀を通じて考える、持続可能な家族のあり方|お寺で知る終活講座第4回レポート
A.そうですね。葬儀よりもその後の手続きのほうが大変だということはよく聞きます。100種類以上引き継ぎのための手続きはあると言われております。
光熱費などのライフラインの口座が故人さまのものであった場合、口座が凍結されるとそのまま数か月滞納となり、供給が止まってしまうこともありますので、そうしたことは早めに確認された方が良いでしょう。専門家や葬儀社に聞いてみると良いと思います。引き継ぎはコミュニケーションが重要ですが、それが難しい場合、事前に少しずつ分かるようにまとめておくと良いかと思われます。
A.(研究員)これは一般的な例ですが、四十九日、または一周忌を期に納骨をされることが多いです。ただ、今のご相談者さまのように愛する方のご遺骨をすぐ側に置いておきたいという方も居られます。これに関してはある程度気持ちに区切りがつくまでお手元に置いていただいても特に問題はございません。
ただ、冷たく聞こえるかもしれませんが、ご遺骨の管理に関しては納骨することが前提になっていることは考えなければなりません。
これは希少なケースだと思いますが、例えば骨壺が割れてしまって、ご遺骨が部屋の中に散らばってしまい、それが「事件性がある」と判断されるようなこともあるかもしれません。納骨証明などがあればまた別かもしれませんが。
愛する方のご遺骨を手放したくないのであれば、お気持ちが落ち着くまでお手元に置いておかれてもかまいません。
A.故人による違いは大きくありますが、世代間による違いはあまりないと思います。ただ、これからは出てくるかもしれない、というような気はしています。
今回の世界的な新型コロナウイルスによる感染症拡大によって状況はかなり変わってくるのではないかと。テクノロジーも発展しますし、これ以降はさまざまな違いが出てくるのではないかと思っています。
A.今のお話はとても重要だと思っていて、子世代の方は具体的に大切なことを見つけようとされますが、親世代の方は理屈抜きにご葬儀のことを重要だと思ってくださっている。
代々行ってこられたことを大切だと思っていらっしゃる。これまで通りのことを「普通」に行っていくことが、最も簡単です。
それをわざわざ別の形に変えて葬儀をしようとすると、色々と考えて補完をしなければならない。子世代の方は理屈でいろいろ考えてこうだ、と決められますが、実は「元々こうしてきたんだよね」というのが親世代の考え方なのかな、と私は考えています。
A.(研究員)特に決まりはありません。何々家の墓、と墓標に書かれることが多かったのでその家族、親族といったイメージがありますが、仮にご友人が入られたとしても差し障りはありません。
A.(研究員)そうですね。それは祭祀継承者と呼ばれる方、そのお墓や納骨壇をお持ちの方、そしてお骨を納める方の合意が取れれば問題はありません。
相続の中に祭祀継承者の引き継ぎというものがありまして、その方が容認してくだされば可能だと思います。こうした問題は複雑になることも多いのでその都度対応していくしか無いように思います。
さいごに
増井:ここにいらっしゃる時点で、皆さんのモノやお金の相続などに対する意識は高いかと思われます。ただ、そうしたものはヒトの引き継ぎのためのリソースなのだと言うことが、今日お話ししたかったことです。お墓やご葬儀のことを通じて一族のことや、気持ちを伝えていく、それが大切なことだと考えています。
過去の終活講座
第2回|認知症と親子関係。支援を通して気づくこと|お寺で知る終活講座第2回レポート
第3回|元気なうちに親子で話し合うべきこと|お寺で知る終活講座第3回レポート