お寺を嫌いにならないために。|「ゆかり広場」、「味噌づくり」活動―北海道千正寺
「ゆかり広場」の様子(画像提供:高塚さん)
北海道千歳市にある千正寺。坊守の高塚もも子(たかつか・ももこ)さんにお話を伺っています。
前編では、高塚さんの民生委員のご活動や、そこから始まった「みなカフェ」の活動について教えていただきました。
後編となる今回は、千正寺で行われている様々な催しの様子をお聞きしつつ、お寺のあり方を考えてまいります。
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お寺は「お骨を置いているところ」!?
――民生委員のご活動のことをお尋ねしていたときに、「お寺を嫌いにならないように」とおっしゃっていましたが、そう願われるようになったきっかけはありますか?
高塚:ある若い家族が納骨堂に来られたときに子どもさんが「お寺って何?」と父親に向かって聞いていたんですね。それに対する答えがものすごくショッキングで。
ーーどういうお答えだったのでしょうか?
高塚:「お寺は骨を置いているところだよ」と父親は子どもに教えていたんですね。それを聞いたとき、すごくショックでした。あぁ現役世代の方はそういう感覚でお寺を見ているのかと。現在の社会構造では仕方がないのかもしれませんが、このままでは駄目だと思いましたね。なにか変えなきゃいけないなと。
その出来事があってから、少しでもお寺のイメージを変えていただこうと、お盆の時期には「ゆかり広場」という催しをはじめました。
――「ゆかり広場」とはどういった催しでしょうか?
高塚:毎年お盆の8月13日にやっている、夏祭りのような催しです。約300基ある納骨堂が開放され、そこへお参りに来る門信徒の子どもさんに楽しんでいただけるように開催しています。夏祭りや縁日でよく見られるかき氷や射的といったプログラムを用意して、お寺の広間で楽しんでもらうことが目的です。
千正寺では「ゆかり通信」という寺報を発行していて、それにちなんで「ゆかり広場」という名称にしています。
また、ゆかり広場以外にも活動を展開させており、決してお寺はお骨をお預かりするだけのためにあるのではない、ということをお伝えしています。
――お寺を嫌いにならない、という目標に対して、他にもご活動をされているのでしょうか?
高塚:はい。「ゆかり広場」の他にも千正寺ではいろんな活動を行っています。例えば、ある門信徒の方から頂いた味噌がすごくおいしかったのがきっかけで「味噌づくり」という催しを行っています。
大掛かりなイベントではありませんが、何でも楽しいことをやるときはみんなでやりたいですよね。そして、味噌を手作りするような機会もそうそうないと思い、お誘いしてみたところ、参加を希望する人がいらっしゃったので、門信徒のおばあちゃんに指導してもらえないか打診しました。
約20年前から行っていて、当時は5人ぐらいだった参加者も、今では20人くらいに増えています。ちなみに、お斎の際にも手作りの味噌を使っています。