「地震」って何だ?地震大国の日本で暮らすということ 【阪神・淡路大震災編】
地震には2つのタイプがある
【図6】海溝型地震のイメージ(イラスト (c)文平銀座+NPO法人プラス・アーツ)
黒田:それでは、地震のタイプについて話しましょう。【図6】をご覧ください。先ほど「海溝」という言葉が出てきましたね。陸のプレート(図6及び図7では、人が乗っている黄色い部分)と海のプレートが交わる境界のところで、陸のプレートが丸ごと跳ね上がって(ずれたり壊れたりして)起こる地震を『海溝型地震』と呼びます。
「丸ごと」と表現するくらいなので、その震源の範囲は広く、このタイプの代表例である東日本大震災(マグニチュード9.0)では、岩手県から千葉県あたりまで約500km。これだけの震源域を全部壊すにはそれなりの時間がかかります。その間ずっと揺れが発生して、結果的に3分ほど続いたわけです。さらには、海溝は海深くにありますので、陸のプレートが海を持ち上げて津波も発生してしまいます。以上、海溝型地震の特徴をまとめると?
――「地震の影響を受ける範囲が広く、揺れが長く続き、津波も発生する」ということですね。
黒田:よくできました!津波については、3月のコラムでもう少し詳しく触れましょう。
――ありがとうございます。残るは直下型地震ですね。
【図7】直下型地震のイメージ(イラスト (c)文平銀座+NPO法人プラス・アーツ)
黒田:すごく感覚的に大雑把な言い方をしますが、直下型地震も、海溝型地震と同じように「陸のプレートを丸ごと跳ね上げたい、海のプレートとの境界でせめぎ合い、思い切りストレスを開放したい!」と動いています。しかし、境界ではなく、もっと内陸でひび割れとなって表れることがあるんです。(足先に力を加えていたら、スネが骨折した、みたいな感じでしょうか。)
「プレート丸ごと」に比べて「ひび割れ」と表現するくらいなので、その震源の範囲は狭く、このタイプの代表例である阪神・淡路大震災(マグニチュード7.3)では、約30km。これだけの震源域を壊すには数十秒で充分です。
――震源が小さいので影響範囲は限定的で揺れも短い、ということですね。
黒田:そのとおりです。が、ひび割れといえども、私たちが暮らす都市の直ぐ下で起こってしまった場合は、強大な地震動が勢いよく地表に届いてしまい、建物の倒壊など揺れによる直接的な被害が多くなる特徴があります。
27年前の今日、大都市を襲った阪神・淡路大震災(地震の正式名称:兵庫県南部地震)は10万棟を超える家屋を倒壊させ、震災関連死も含め6,434名もの命を奪い、甚大な被害をもたらしたのです。
ひび割れ=破壊される面は「断層」と呼ばれ、いったん断層ができると、ひずみが貯まるたびに同じ場所で破壊が起こりやすくなります。断層のうち、約200万年前から現在までの間にできたもので、今後も活動する可能性のあるものを活断層といいます。
なんと、発見されているものだけで、日本の陸域には約2,000個もの活断層がある(*2)とされています。【図8】つまり、地震を起こす可能性のある古傷が全国各地あちこちにあるということですから、日本に住んでいる以上は関心を持って過ごしたいな、と私は思っています。
【図8】活断層の位置を表した地図(*2)
最後に、第1回で話した「過去に学ぼう」(リンク)の重要性を改めて強調したいと思います。大雨や台風ほどの頻度ではありませんが、地震は繰り返し起こっているからです。
それは、今日いっしょに学んだように、地球が絶えず動いているというシンプルな事象に起因します。フィリピン海プレートが動くスピードは年間約4cm。これは人の爪が伸びるスピードとほぼ同じです。爪が伸びたら切ってケアするように、地球の動きを当然のものとして少しでも意識できれば、日々の備えにつながるかもしれませんね。