億劫[おっくう]

億劫[おっくう]…きわめて長い時間×一億

 

めんどうくさくて気の進まぬことをよく「おっくう」といいますが、

これは仏教語の億劫(おっこう)がなまったものです。

 

「劫」とは仏教でいう極めて長い時間で、

『雑阿含経(ぞうあごんきょう)』【※】にある

「芥子(けし)劫」と「磐石(ばんじゃく)劫」が代表的です。

 

芥子劫とは四方と高さが一由旬(いちゆじゅん)

[古代インドの距離の単位で、帝王の一日の行軍の距離とか

牛車の一日の旅程、約六十キロか]

の鉄城に芥子が充満し、百年に一度、一粒ずつ持ち去って、

すべてがなくなっても劫は終わらないといい、

磐石劫とは一由旬四方の大石があって、

男が白氈(はくもう)で百年に一度その石を払い、

石が摩滅(まめつ)しても劫は終わらない、と説明しています。

 

億劫はその一億倍ということですから、気の遠くなるような時間です。

『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』【※】に

「真実の浄信は億劫にも獲(え)がたし」の億劫がそれです。

 

そんな長い時間を考えるのは、めんどうなのか。

気の進まぬ仕事は時間がかかるのか。

とにかく億劫が「おっくう」になりました。

 

【※阿含経(あごんきょう)】

原始仏教の経典。阿含はサンスクリット語「アーガマ」の音写で、「伝承された教説」の意。

釈迦直説とみなされた経典を多く含んだ経蔵のことである。漢訳では長・中・雑・増一の四阿含がある。また、パーリ語では「ニカーヤ」といい、長・中・相応・増支・小の五部がある。

 

【※教行信証(きょうぎょうしんしょう)】

詳しくは『顕浄土真実教行証文類(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい』といい、

親鸞聖人の主著。1224年成立。教・行・信・証・真仏土(しんぶつど)・化身土(けしんど)の六巻から成り、浄土真宗の教義体系が示されたもので、浄土真宗の立教開宗の根本聖典。

 

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「くらしの仏教語豆辞典」より転載

(ホームページ用に体裁、ふりがな等を調整しております)

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掲載日: 2013.02.22