すわっているだけで、やすらいでいく坊主バー?|羽田高秀さんインタビュー<前編>

今回のインタビューのお相手は、「京都 坊主BAR」を経営されている羽田高秀さん。

                       

▼坊主バーをはじめられたきっかけは?

 

実際にやろうとおもったのは、5、6年前です。大阪と、東京の坊主バーにいって、こんなものもあるんだ、と思ったのがきっかけです。店を始める一年前に、バーの学校に通いました。小さい学校ですが、そこで教えてもらい、練習しながら、会社の近くのバーに通いつつ、お酒とバーについて勉強しました。

ただ、ハードルは高かったですよ。飲食業の経験ゼロですし。ちょうど、親鸞聖人の750回大遠忌があって、やるならいましかない、と。

 

▼坊主バーの目指されているものについて、教えてください。

 

一番は、ここにすわっているだけで、やすらいでいく、そういう場を提供したいと思っています。もちろん、お酒も提供します、仏教も提供します。しかし、一番はそこ。

バーの学校で、言われた言葉に「バーテンダーは透明になれ」というものがありました。バーテンダーは、そこにいながら、でもなにかの色がついていてはいけない。それはカウンセリングと一緒で、自分は透明になって相手の話を聞きなさいと。たぶんそれは、僧侶も一緒なんでしょうね。それが今、自分のスタンスとしてあります。

 

▼お坊さんに話を聞いてもらいたいという人もいらっしゃるんじゃないですか?

 

話を聞いてもらいたいという相談もたまにあります。カウンセラーの勉強をしたこともあって、聞くのが大事かと思ったこともありました。けれども、実際に真剣にカウンセリングしようと思うと、一時間単位で何回も聞かないといけないとか、そんなこともあって、バーとしては、あまりそれを目指してはいません。それは専門のところにいってもらうべきだと思います。

バーの理想としては、自分もしくはスタッフがいるだけで、その人が自然の状態になっていく。「癒し」ということばを使うと単純ですが、「やわらいでいく」というか、そんな風にしたいと思っています。

 

▼お店にも、なんとなく居心地のよさを感じます。

カウンターの方を見てもらえば、普通のバーです。仏教的なものは、ほとんどありません。でも反対側に目を向けたら、机には鈴(りん)があり、壁側にお仏壇があり、やはり「坊主バー」なんだと、そういうしつらえを意識しています。

バーである限り、マニアックな形を取るよりも、多くの人に入ってもらいやすい形を作って、そこから、なにかのきっかけで、仏教的・宗教的なものに触れてもらえたら、いまカベにぶち当たっている人が、ちょっと和らぐかな、と。そういうところを目指しています。

 

▼「坊主バー」という名前、「坊主」を表に出される意味は?

一般の方がいう「お坊さん」というのは、きっとテレビでみるような、お寺にこもって、一日中修行してという、イメージでのお坊さんではないかと思うんです。でも現実は、それとは異なる面があります。

来られた方と話をしていても、思っていた以上に僧侶を知らない。寺というものを知らない。知っていることといえば、マスコミが流しているようなことがほとんどです。僧侶というのがどんなものか少しでも知ってもらいたい。

 

 

▼坊主バーでたくさんの方に、お坊さん、仏教について知ってもらいたいと?

広告も出しているので、「坊主がやっている」と関心を持って人が来ることもあります。でも、それで終わってしまう人が多いんです。

まぁ、それはそれでいいんですけど、そこから、興味を持って調べて見て、「あぁ、僧侶がこういうことをしているんだ」とか、東京や大阪の坊主バーもあるんで、そういうところにいったりして、仏教や僧侶への関心などを、広げていってもらえたらと思います。

 

京都 坊主BAR

Address: 〒604-8237 京都市中京区油小路通蛸薬師下る山田町526番地

Tel:075-252-3160

定休日:日曜日,木曜日(振り替える場合あります)

営業時間:20:00~24:00(ラストオーダー 23:30)

   

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掲載日: 2013.11.18

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