波乱万丈の人生は、阿弥陀さまの導きだった |西守騎世将さんインタビュー<後編>
すべてのご縁は、阿弥陀さまのお導きだった
(画像提供:西守さん)
――僧侶や住職としての今後のご展望を教えて下さい
西守:まず、住職としてはお寺の再建に注力したいと思っています。
おかげさまで、寄付金もある程度集まってきましたので、2022年から本格的に計画を進める予定です。
新たなお寺は、一見するとお寺だとわからないような建物をイメージしています。例えるなら、おしゃれなカフェのような感じでしょうか。法要や葬儀で人が集まるお寺ですが、やはり日頃から賑わう空間であることが大事だと思います。門信徒の方々も含め、多くの方にお参りいただける空間が理想的ですね。
私自身、お寺に対して固定観念が無いんですよね。お預かりしているお寺も、僧侶になってから初めて向き合ったので、それまでの歴史をほとんど知りません。その「知らない」を強みにして、現代の事情に即したお寺のあり方を模索できればと思っています。
そして、僧侶としてはこれまでのご縁を大切に、念仏者としてふさわしい人生を歩みたいと思います。
周囲からは「よく僧侶になったね」と驚かれますが、私自身は僧侶にならせていただいて心から良かったと思っています。
考えてみると、たしかに阿弥陀さまのおはたらきが私に至り届いているんですよね。
嫌々、家業の跡継ぎとして暮らしていたときは父親ともしょっちゅう対立していました。ですが、いま私が持っている建築技術や経営のノウハウを授けてくれたのは他でもなく家業であり、父親です。
その後、建設業から離れてヘリコプターのパイロットになり、熊本までフライトした際に家内と知り合いました。それがなかったら家内とは知り合っておらず、私がお寺を継ぐこともなかったでしょう。
そして、今はお預かりしているお寺の再建という一大計画を託されています。一見すると波瀾万丈な人生でしたが、最終的には仏法を後世に伝えていくという、一つの大きなご縁に集約されていきました。数々の点が繋がり、一つの線になったような感覚です。遠回りに見えるこれまでの人生も、それぞれに大きな導きがあったことに気付かされました。
――ありがとうございました。
編集後記
今回は、僧侶として、パイロットとしてご活躍されている、西守騎世将さんにお話を伺いました。
パイロットとしてのお話を伺っているときは、凛々しい表情をされていましたが、お寺や僧侶のお話を伺うときは穏やかな表情をされていたのがとても印象的です。
家業を飛び出し、ヘリコプターを通じてお寺とのご縁が結ばれ、今度はお寺の再建という形で、それまでのご縁を活かす西守さん。阿弥陀さまのお導きを感じるインタビューでした。
西守さん、ありがとうございました。
西守騎世将さんプロフィール
西守 騎世将(にしもり きよまさ)
・浄土真宗本願寺派 菩提山 善教寺 第十四世 住職
・浄土真宗本願寺派 布教使
・宗教法人 善教寺 代表役員
・ハートランドインフォメーション株式会社 代表取締役
・一般社団法人 災害支援機構 代表理事
・【航空会社】セコ・インターナショナル 安全対策室長、主任飛行教官
■1964年(昭和39年)、愛知県生まれ。
■21歳まで大工として家業の建築業を手伝い、24歳の平成元年独立。不動産業を柱に現在の
ハートランドインフォメーション株式会社を設立。
■1996年、同社航空事業部としてパイロット養成校を設立し、卒業生は飛行機ヘリコプター併せて700名を超える。
■2005年、オーストラリアのメルボルンから愛知県の名古屋市まで、小型の単発エンジンヘリコプターで12,000キロを飛行した世界記録を持つ。
■2011年3月、東日本大震災に於いて、民間ヘリコプターで初めて災害支援活動を実施。
■2012年10月、東日本大震災の教訓から、全ての民間災害支援のプラットフォームとなるべく、一般社団法人 災害支援機構を設立。代表理事に就任。
■2016年12月、浄土真宗本願寺派にて得度し、僧侶となる。法名「釋 一心」を拝受し、善教寺衆徒に。
■2017年6月、浄土真宗本願寺派・教師資格取得。
■2017年10月、善教寺・第十四世住職に就任。
■2021年5月、浄土真宗本願寺派布教使任用
■国土交通省公認・飛行教官資格、及び事業用操縦士資格、特定操縦技能審査員資格保有。(いずれもヘリコプター)。
■危機管理のエキスパート「佐々淳行」に師事し、危機管理を徹底的に学ぶ。その教えを広く民間に伝道するため、各地にてリーダーシップや危機管理講座等様々な講演活動を行っている。
■現在は名古屋空港の航空会社にてパイロット養成の教育を行いながら、ハイジャック対策、テロ対策の責任者も担当しながら、善教寺住職として地震で全壊したお寺の再建活動を進めている。
(引用:善教寺公式ホームページ)