「困ったときの住職さん」地域や商店街のために僧侶としてできること?│安武義修さんインタビュー<後編>

 
――きっかけは外国人留学生の居場所作りだったんですね。他にもリトルアジアマーケットにはお釈迦さまの像もお迎えしたとのことですが、どのような経緯があったのでしょうか?
 
安武:私は、リトルアジアマーケットプロジェクトの中で、僧侶として何かできないか考えたんです。
西林寺では「キャンドルナイトライブ」というカンボジアのチャリティーイベントをやっているのですが、スタッフとして手伝ってくれているタイ、カンボジア、ベトナム人と話したとき、「日本には手を合わせる場所がない。このあたりにあるお寺はあくまで日本仕様の仏さまで、私たちはやっぱり慣れ親しんだ祖国のお釈迦さまに手を合わせたい」と言っていたことを思い出しました。そこで、お釈迦さまをアジアからお迎えしないかと提案させていただいたんです。
 
するとトリゼンフーズの会長がその場で電話をして、お釈迦様を「発注」してしまったんですよね(笑)。
まだ商店街の人たちに話してもいなかったし、慌てて止めようとしたんですが、いいアイデアだからスピード感を持ってやろうという会長の勢いに助けられ、そのまま進めることになりました。そうして3週間後には高さ2m・重さ400kgのお釈迦さまが船に乗って日本にお見えになりました。
タイやミャンマーの方は熱心な仏教徒です。とくにミャンマーは内戦で心が不安定ななか日本で生活しているので、心の支えが必要なんです。
 

写真提供:安武さん

 
――食と心を支える商店街なんですね。商店街には今も外国人が集われているんですか?
 
安武:そうですね。若い世代のベトナム人やタイ人、ミャンマー人やカンボジア人が休みの日に集まって、ミャンマー語のお経を唱えていますね。そういう光景を見ているとこちらにも学びがあります。商店街のおじちゃんおばちゃんたちは、今まで肌の色や文化が違う彼らのことを怖がっていたのですが、彼らの手を合わせる真摯な後ろ姿を見て、歩み寄ろうとしています。そういう現象が生まれていて、やってよかったなと思いますね。
 
 
 

リトルアジアマーケットで気づいた僧侶の役割

   

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掲載日: 2022.06.07

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