「困ったときの住職さん」地域や商店街のために僧侶としてできること?│安武義修さんインタビュー<後編>

 

僧侶は緩衝材?

 
――リトルアジアマーケットの企画の中で見つけられた僧侶の役割はありますか?
 
安武:リトルアジアマーケットの企画が決まってから、お寺に商店街の方を集めて説明や現状報告を行っていたんです。あるとき自治会長が来られたので一言ご挨拶を頼んだら、ものすごい剣幕で怒られて。自治会長さんは街のイメージを良くしようとパトロールを十数年続けてこられた方で、ようやく吉塚が良い街だと評価されてきたにもかかわらず、こういう活動を始めたことでもし犯罪が起こったらどうするんだと。
翌日、自治会長と話し合いました。自治会長のおっしゃることはその通りだったので、ただただ受け止めて聞いたんです。そうしたら「もういい。乗った船やけん、ついていく」と。今では活動を応援してくださっています。
 
――僧侶として、また住職として大切にされていることはありますか?
 
安武:傾聴と対話の姿勢を大切にしています。とにかく対話をする、できるだけお話をよく聞くことを大事にしたいと思っています。
 
商店街にはいろんな人間関係、派閥、利害関係があります。その中で私のような僧侶という立場は、どこにも属さない、ちょうどいい緩衝材になっていると思っています。ときには数時間おばあちゃんの愚痴を聞いたり、対立する話の中に入っていったりします。とことん、長ければ数時間、双方の意見を聞いたりもしますね。やっぱり、どこにも属していないので物事を冷静に見て、意見ができる立場であることは、すごく地域にも求められているんですよね。
 
結果いろいろと頼りにしてくださって、頻繁に商店街の誰かがお寺に来て悩み相談をされます。地域の中にお寺の役割があるのは本当にありがたいことだなと思います。「開かれたお寺」とよく言いますが、開いていることが自然なスタイルになっていきたいですよね。じっとしているのではなく、自らアクションを起こして外に出て、という姿勢が求められているのかなと思います。
 

今後の展望

 
――今後お寺でやっていきたいことはありますか?
 
安武:リトルアジアマーケットを通して、外国人留学生から仏教行事を行いたいと希望されるようになりました。ご門徒の方々と一緒に、お寺のフィールドの中に巻き込んでいけないかと考えています。
 
 

   

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掲載日: 2022.06.07

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