仏教界のフロントランナーから見た「日本の仏教」とは|松本紹圭さんインタビュー<前編>

 
日本の仏教はどうあるべきか。そしてこれからどうなるのか。
そんな疑問に対して、仏教界のフロントランナーならどのように答えるのでしょうか?
 
この度、超宗派のウェブサイト「彼岸寺」や若手住職向けの「未来の住職塾」、お寺で掃除をする催し「テンプルモーニング」など、仏教界で斬新な取り組みをなされてきた、松本紹圭(まつもと・しょうけい)さんにお話を伺いました。インタビュー前編となる今回は、松本紹圭さんの生い立ちを伺いつつ、日本の仏教の特徴や現代のおける可能性を紐解いていきます。
 

松本紹圭さんプロフィール

 

 

1979年北海道生まれ。浄土真宗本願寺派光明寺僧侶。超宗派仏教徒のウェブサイト『彼岸寺』(higan.net)を設立し、お寺の音楽会『誰そ彼』やお寺カフェ『神谷町オープンテラス』を企画。若手住職向けの寺院マネジメント塾「未来の住職塾」を開講。
お寺で僧侶と一緒にお参り・掃除・お話から一日を始めるテンプルモーニングを実施。noteマガジン「松本紹圭の方丈庵」、ポッドキャスト「テンプルモーニングラジオ」、翻訳書『グッド・アンセスター』など、多方面に発信中。

 

「死んだらどこへ行くのか」問い続けた学生時代

 

(画像提供:松本さん)

 
――松本さん、今日はどうぞよろしくお願いします。簡単に、自己紹介と僧侶になられた経緯を教えて下さい。
 
松本紹圭さん(以下:松本):松本紹圭と申します。北海道小樽市に生まれ、東京大学進学に伴い上京。その後、大学を卒業して僧侶になりました。祖父が真宗大谷派寺院の住職を務めていたので、お寺に多少馴染みはあったものの、大学で進路を考えるまでは、僧侶になるという発想自体がありませんでした。
 
ただ、「人はどこから生まれてきて、死んだらどこにいくのか」という問いを、自分自身どう受け止めれば良いかを幼い頃から考えていました。祖父に鈴木大拙の『無心ということ』といった仏教書を借りて読み、そこから思想や哲学に興味を持ち、大学でも哲学を研究していました。その後、大学卒業後の進路を考えるときにご縁があって僧侶の道に出遇いました。どういうわけか、「僧侶」という選択肢が自分の中で存在感を増してきて……。そのままその道を進み今に至っています。
 
――僧侶という道が松本さんの中で存在感を増したのはどうしてだったのでしょう?
 
松本:仏教の思想哲学への興味関心が強かったからです。加えて、人生を歩む上で仏教が魅力的に映っていたんですよね。
やっぱり、自分の人生を賭けるに値する仕事がしたいですよね。それがどんな仕事かはそれぞれにあると思いますが、自分にとっては仏教が自分の人生を賭けても良いものに映ったんです。もちろん、他の進路も考えた時期もありましたが、僧侶になる道に出遇ったあとは迷いもありませんでした。
 
ーー人生を歩む上で、仏教が魅力的に映ったのはなぜでしょうか?
 
松本:哲学者が必ずしも幸せな人生を送っていないという現実を目の当たりにしたのがきっかけの一つとしてあります。思想としての面白さはあっても、それが本当に幸せに生きる道とは限りません。一人の人間としてどう幸せに生きるかを考えたとき、仏教や仏道にヒントを見いだせないかと思ったんです。
 
そして、仏道の教理や学問よりも、実践に関心がありました。実践と言っても、坐禅といったプラクティスではなく、もっと根本的な「生き方」に関心がありました。
 

本当に無宗教?日本に根づく民芸的な仏教

   

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掲載日: 2022.09.07