「お前の代わりはいくらでもいる」と言われたIT企業時代。工夫で寄り添う糸島のお坊さんの話│中島至さんインタビュー<前編>

 

「ミニ法話」に「個人法座」……玉栄寺のご法座のポイントとは?

 

(写真提供:中島さん)

 
――中島さんがご法話の際工夫されていることはありますか?
 
中島:専門用語はなるべく使わず、要点は何度も繰り返して話すようにしています。そして絵本や紙芝居、詩の朗読、音楽を用いたりしながら興味がわきやすい法話になるよう心がけていますね。また、私が一方的に話すのではなく、法話の中の言葉を一緒に復唱していただいたりしながら、来てくださった方とともにご法座をつくっていくことも大切だと考えています。
これらを3つにまとめると、

・わかりやすいこと
・惹きつけること
・参加型であること

になるんです。
 
――3つのポイントを押さえたうえでのご法話を通して、ご門徒さんや参加された方の反応はいかがですか?
 
中島:皆さん笑顔で聞いてくださいます。ご門徒さんからは、ありがたいことに外部講師を呼ばなくてもじゅうぶんだと言ってくださる方もいます。これは住職としても布教使としても励みになりますね。だからこそ自分の中で決めているルールもあります。
 
――そのルールとは?
 
中島:時間は一座につき40分まで。上限40分がご年配の方にも一番集中して聞いていただける時間だと思っています。話の途中で眠くなったり飽きられては意味がありませんので。
ただし、法話を初めて聞く方が多い場では40分でも長いので、15分~20分としています。さらに自己紹介は省くようにしていますね。いきなり「阿弥陀さまってありがたいですね」から始めても、法話は成立するからです。
また、以前お話しした内容をもう一度話して良いことにしています。私がこの話は何回聞いてもありがたいから、と断って同じ話でも気にせずしていますね。
 
――寺院活動においてこだわられていることはありますか?
 
中島:玉栄寺は結構ふらっと立ち寄られる方が多いんです。そんな方にも、私は必ず2〜3分程度のミニ法話をするようにしています。例えば、納骨堂の見学に来られた方にもミニ法話はしていますね。納骨堂に来られた方に対して私たちがまずできることは、阿弥陀さまはこんな仏さまなんだと、一緒にありがたいなと感じさせていただくことではないでしょうか。ミニ法話をすることで、その先もしご縁がなくても僧侶の役割はちゃんと果たしていますから。
納骨堂の見学の際大事にしていることがもう一つ、まずは故人さまの名前をお聞きするようにしています。そして「〇〇さんも仏さまになられて見守ってくださっていますよ」と故人さまの名前を呼ぶことで、故人さまと結び付けた法話をさせていただいています。
 
また玉栄寺は、新型コロナウイルスが流行り出してからも一度も法要を中止していません。ただし、一同に会していただくのは心配だったので、各門信徒に個別でお越しいただき「個人法座」という形で法座を行いました。時間は一家につき30分、1日に4座ずつ実施し、2週間で合計40座おつとめさせていただきました。
 
――すごいですね……!
 
中島:その形でも、9割のご門徒さんがお参りに来てくださいました。これは嬉しかったですね。おつとめと法話を一家につき貸し切りでやるわけですから、法座数で言えば以前より劇的に増えましたが。それがきっかけで玉栄寺では個人法座という形が新たに生まれ、希望があれば現在でも実施しています。
 

個人法座後の様子(写真提供:中島さん)

 
 

一人ひとりの気持ちに寄り添うために

   

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掲載日: 2022.09.13