お坊さんがwebムービーを作った話|広島青年僧侶 春秋会インタビュー<後編>
お坊さん発案のwebムービー。
(画像引用:https://camp-fire.jp/projects/view/639492?list=local)
――現役で働いておられる世代に、直接仏教をお伝えするということですね。webムービーの取り組みは斬新ではないでしょうか?
廣幡:そうですね。広報では「お坊さんがドラマを作りました!」というキャッチコピーを前面押し出し、多くの方に注目されたと感じています。
ターゲットの世代が仏教に興味を持ってもらうためには、どうすれば良いかを徹底的に議論しました。最初に、インターネットやSNSを通じた伝道が良いのではないかというアイデアが出て、まずはホームページの制作をすることを決めました。
そして、その中で何を掲載するかを議論した時に、webムービーの制作がアイデアとして出されたんです。ムービーを通して、それぞれの日常のなかに仏さまの教えをそっと添えていくようなイメージを青写真に描きました。
――内容はどういったものでしょうか?
廣幡:父親の三回忌という場面設定で、妻、長男、長女、次女、そして長女の娘の5人が登場し、それぞれが法事中、心の内で思っていることが描写されます。役割、お金、自由、正義……さまざまな価値観が渦巻く中で、それぞれが「私こそが正しい、私こそが救われる」と思い始めます。そこに、仏さまがお出ましになり、無言で問いかけるという内容です。あくまでも新たな価値観の“提案”であり、「あえて」話のオチや答えを用意せず、読後感を残しているところがポイントです。
――webムービーの見どころを教えて下さい。
廣幡:「自分の顔は自分で見られない」ということでしょうか。ドラマの中でも、家族間のことはよく見えているんですよね。母はこうだ、姉はこうだ、妹はこうだ……と。他者と比較して、自分こそが正しいとそれぞれが確信しています。でも、自分のことは全然見えていないんですよね。そんな私たちを、仏さまはどう見ておられるのだろう?というメッセージ性に注目していただければと思います。
――映像の撮影や編集はどのようにされたのですか?
廣幡:映像制作はプロに頼むこととなり、まずは制作会社を探しました。当初東京や大阪の企業に打診しましたが、最終的に地元広島でCMや長編映画の制作もされている「株式会社バズクロウ」さんに依頼しました。限られた予算ではありましたが、親身に相談に乗っていただき、色々な面で知恵も絞っていただきましたね。