融通[ゆうづう]の意味とは?【くらしの仏教語豆事典】
融通[ゆうづう]…念仏はすべてのものに融通する
「ちょっと融通してくれませんか」といえば、
金銭や物品を貸してくれませんか
ということで、「あの人は堅くて融通のきかない人なんだ」といえば、
少々理論的にはおかしくても、
なんとか処理してくれるというような人ではないよ、
という意味なのでしょう。
とにかく、融通は、一般に日常語としてよく使われています。
『華厳経(けごんきょう)』【※】の世界観の眼目は、
融通無碍(むげ)という思想だといわれています。
宇宙の万物はそれぞれ孤立しているものではなく、
互いに関係を保ち、よく調和しているというのです。
融通とは、別々のものが融けあい、
通じあい、両方が相まって
完全なものとなることを意味する仏教語なのです。
念仏はすべてのものに融通しているところから、
融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)【※】という名の宗派もあります。
では、ほんとうの意味で融通のきく人とは、どんな人なのでしょうかね。
【※華厳経(けごんきょう)】
詳しくは『大方広仏華厳経』といい、大乗経典の一つ。
漢訳には八十巻本・六十巻本・四十巻本の三種があり、華厳宗の根本聖典。
釈迦が成道の直後に自ら悟った内容をそのまま示し、その悟りにいたる段階を説き、
精神の深まりを説く経典で、全世界を毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)の 顕現であるとする。
【※融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)】
1117年、良忍が阿弥陀仏から直接授けられたという偈頌
「一人一切人、一切人一人、一行一切行、一切行一行」
によって開宗した浄土教の一派。『華厳経』『法華経』を正依、浄土三部経を傍依とし、
一人の念仏が万人の念仏と融通しあって往生できると説く。
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掲載日: 2013.02.13