映像とクイズで学ぶ「みんなの防災」 ―新潟県中越地震編―
どのような被害があった?
――では、新潟県中越地震はどんな揺れだったのでしょうか?
動画提供:白山工業株式会社
黒田:この動画は、当社(白山工業株式会社)と東京工業大学が共同で撮影した実験映像(*4)です。新潟県中越地震の本震発生時に、小千谷市の消防署に設置されていた地震計で観測された記録を使って水平2方向(上下動は無し)の揺れを再現しています。
振動台の上に小さめのワンルームをこしらえ、その室内がどのようになるか実験したものです。色々と実験の制限があり、左右両側の家具類をロープやテープできっちり固定していたので転倒するものは限られますが、揺れの激しさがよく伝わると思います。
――これは……。かなりショッキングな映像ですね。固定されていない家具や小物類はすべて凶器と化していますね。家具を固定しておくことの重要性を感じました。
黒田:この動画と同期して揺れを体験する装置(*5)がありますので、その様子も見てみましょう。
動画提供:白山工業株式会社
安定した椅子に座ってシートベルトをしているのに、手すりを力強く握って踏ん張っていないと耐え難い揺れです。
――椅子に座っている方の頭が激しく振られていて、揺れの激しさを物語っていますね。座席自体の動きに着目してみると、揺れは左右だけではなく、前後にも激しく揺れていて、めまいがしてしまいそうです。
外部からの視点の映像を見ることで、地震がどんな揺れなのかが良く分かりました。
黒田:素晴らしい視点ですね。客観的に見るポイントとしては、まさに本体(緑のカバー部分)が地面の揺れを表していて、映像ではその地面に立つ建物の中がどのような被害になるのかが分かり、揺れと被害の関係を直感的に理解していただけると思います。
これを踏まえて、ぜひもう一度動画を見ていただけると、より体感した気になれるかもしれませんね。ここで補足しておきたいのは、本来はこれに上下動(縦揺れ)も加わるので、もっと激しいということです。
小千谷市でこの装置を体験された方からは「本当は、こんなもんでは済まない」とよく聞かされました。
新潟県中越地震で亡くなられた方々の死因として、建物が倒壊したことによる頭部損傷や窒息などの外傷だけでなく、地震によるショックや避難時のストレスが指摘されている例が多いこと(*6)からも、揺れの激しさや長く継続する余震が心身に与える影響はとても大きかったのだと思います。
――改めて、事前に備えておくことや、想像しておくことの重要性に気付きました。