現代の僧侶に求めるものとは|せいざん株式会社インタビュー⑤
宗教者やせいざん株式会社の事業、それぞれが果たす役割や、関係性についてお話を伺った前回。最終回の今回は、せいざん株式会社でのお墓に関する事業、池邊さんと岩田さんが「絶対にやらないと決めていること」について、お二人が僧侶に対して「こうあってほしい」と望む姿などについてお伺いする。
葬儀の現場で。「知らない人」が損しないために|せいざん株式会社インタビュー①
かつて運営していた墓地霊園紹介事業について
ーー前回は、実相寺さまの納骨堂に関する業務を請け負っているというお話を伺いました。せいざん株式会社では、以前から、広くお墓に関する相談に応えてこられたんですよね。
池邊:そうですね。葬儀のお手伝いをしますと、流れでお墓に関する相談もしていただくことが多かったんです。
なので、独自に石屋さんに情報をいただいたりしながら、データベース化してご紹介していたんですけど、これはもう契約者さまだけではなく、全ての方に公開した方が良いのでは?という話になりまして、いわゆるお墓霊園検索サイトというものを立ち上げました。
当時は他にこういうサービスはなかったと思います。今でいうと「いいお墓」さんがやっておられるような。
ーー新たにお墓を建てようと思っても、なかなか詳細な情報って手に入りにくいですもんね。
池邊:そうなんですよね。そのサイト運営もしていくうちに、お寺さんの方からも、納骨堂や永代供養墓についてのお話をいただくようになりました。実相寺さんのように、檀家さん以外の人にもお墓を開いていきたい、という思いを持たれているお寺さんからの問い合わせが多かったですね。
ーーこれも、お墓を探している人と、お墓を提供したい人とのマッチングができますね。
池邊:はい。出会いの機会を創出するのが、私たちの事業のメインですからね。
ーー納骨堂や霊園って、良い条件というのはあるんですか? どういう基準で選ばれたのかなと思いまして。
池邊:なかには、実際に行ってみると、そもそも売り地がないのに販売の情報を出しているようなところも当時はあったので、当たり前ですがまずはちゃんと購入できるということ。
霊園の掃除がきちんとされているかどうか。
あとは、運営母体がどういうところか、どういうお寺さんか、ということはよく確認します。どんな、アフターケアをしてくださるのかどうかとか。
ーーアフターケアとは?
池邊:お墓の建設後に、少し壊れてしまった場合にきちんと対応していただけるか、などですね。2011年以降は地震保険なんかも出てきていますけどね。
あとは、営業の方が最後まで付き合ってくださるかどうか。建墓の現場にも立ち会って、きちんと説明や対応をしてくださるような方かどうかということも確認します。
お墓を建てて、終わりでなく、また同じお墓に納骨するということになれば、名板彫ったりしてもらわないといけないし、そのあたりがスムーズかどうかも大切ですよね。
ーーお寺がされている、納骨堂や永代供養墓も見られているんですか?
池邊:はい。その場合もお寺さまにお伺いして、お話をさせていただきます。納骨堂を拝見して、永代供養墓もされていれば、そちらも拝見します。あとは、どういう思いでこの納骨堂や永代供養墓を設置されたのか、なぜ檀家さん以外にも開いていこうと思われたのか、考えをお聞かせいただいて、掲載をさせていただいています。
ーーどれくらいの数が掲載されていたんですか?
池邊:今は60くらいでしょうか。関西関東合わせて60くらいのお寺さんが載っています。
ーーご紹介するときは、なにか基準のようなものはありましたか?
池邊:基本的にはヒアリングのなかでご本人の希望をできるだけ抽出して、ということになります。ただ、やはり通える範囲内であることはおすすめしていました。ご供養が続かないと意味がないので。
岩田:あとは、見学に来られる方が「私は無宗教ですからどの宗派でも良いです」とおっしゃっていても、例えばおじいさんやおばあさんが熱心にお寺に通われていたりすると、違う宗派にするとのちのちトラブルになりやすいんです。そのあたりは気をつけていました。
ーー丁寧にヒアリングを重ねるからこそ避けられるトラブルもありますね。
池邊:そうですね。基本的に、情報が不足してる状態での契約や、いっぺんに無理やり決めてしまうようなことはしないようにしていました。
いざお墓が建ったあとにトラブルになると、みんなが嫌な思いをしますしね。ご供養の妨げにもなりうる。そのあたりの配慮は必要でしたね。