お寺はもっと開いていくべき?多くの人に山門をくぐってもらうためにできるコト│百濟高昌さんインタビュー<後編>

 
――最後に、百濟さんにとって仏教とは?
 
百濟:うーん……鏡でしょうか。
あるがままの自分を見せてくれるもの。
僕たちは普段、とても自己中心的に生きていると思います。「僕」が見たこと、「僕」が聞いたことなどに「僕」なりに対応して生きている。すべて自分からの視点でしかない。そんな僕に、ありのままの自分を見つめ俯瞰的な視点をくれるのが仏教だと考えています。「僕」の外からの視点を気付かせてくれる。
仏教は「毎日が自己再発見の連続的訓練」と言えるかもしれません。
 
正直、仏教や仏教にご縁のある人びとに出あえていなかったら、30代前半でバンドを「完成」させた時点で、音楽しか知らない僕はエネルギーと支えを同時に失って、次に向かって生きていく自信がなかったんだと思います。
そんな僕がお寺に戻って仏教を学んだとき、挫折や苦しさに対してのさまざまな受け入れ方を与えてもらいました。仏教は、生きていくための「受け入れ方」の宝庫であるように思います。僕は今、それに救われているんだろうなと感じています。
 
――ありがとうございました。
 
 

さいごに

 
30歳になるまでお寺を離れていた百濟さん。このインタビューを通して、「これまでの経験のすべてが、僧侶として生きていくうえで活きている」ことに、改めて気付かれたそうです。挫折や失敗は苦しくもありますが、そこから同時に学びや新たな気付きが生まれることを教えていただきました。そんな百濟さんは僧侶の立場に甘えないように、そして善照寺がより楽しいお寺になるように、これからも百濟さんらしく活動されることでしょう。
 

善照寺境内(写真提供:百濟さん)

 
 

プロフィール

百濟高昌(くだら・こうしょう)さん
 
1981年生まれ。大阪芸術大学放送学科卒。
2013年までロックバンドCamelChairのギターボーカルとして活動。4枚のアルバムをリリース。
山口県下関市豊北町 善照寺住職 
 

   

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掲載日: 2022.03.18

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