「困ったときの住職さん」地域や商店街のために僧侶としてできること?│安武義修さんインタビュー<後編>
写真提供:安武さん
引き続き、安武義修さんにお話をうかがっていきます。
今回は、「リトルアジアマーケット」として商店街が再生した裏側と、その中でお寺の住職としてどのように関わることができたのかお話しいただきました。
アジアを巡りカンボジアにたどり着いた僧侶の話│安武義修さんインタビュー<前編>
手を合わせる彼らのために
写真提供:安武さん
――吉塚市場リトルアジアマーケットプロジェクトはどのようにして進められたのですか?
安武義修さん(以下 安武):西林寺の近くに吉塚市場という戦後の闇市から始まった商店街があったんです。かつては約150店舗ありましたが、現在は商業施設が増えたり、高齢化が進んだりで30店舗まで減少しました。
そんな吉塚市場の近くには日本語の専門学校が3校あって、900人くらいの外国人が住んでいます。とくに東南アジアの方が多いですね。彼らにとって「市場」という場所は食を支えたり、情報交換したりする場として大切なコミュニティなんです。カンボジアをはじめとしたいろんな国で現地の方と交流してきた私の中では、多文化共生がキーワードとなっていました。そうして、「なら彼らの居場所として商店街を再生したい」と考えたんです。
あるときその話を西林寺のご門徒にお話ししたんです。その方は九州では有名なトリゼンフーズの会長で、もともと商店街にもお店を出されていたのですが、経営が立ちいかなくなって撤退されて、現在の商店街の状況をご存じではありませんでした。私は、商店街の元気がないこと、外国人へ商店街を開放することが商店街復活の道だと思うことを伝えました。すると「住職面白いこと考えるね!コロナで時間も空いているし、助成金申請してみようか!」と言ってくださったんです。
申請したところ経産省から4200万円が降り、商店街は3ヶ月でアジアのお店を誘致して、劇的に再生することができました。そうしてできあがったのが「リトルアジアマーケット」です。