みんなで考え、みんなで語り合い、みんなで囲む、仏教座談庵「いろり」│藤井大樹さん、藤田圭子さんインタビュー<後編>

(写真提供:仏教座談庵「いろり」)

 
前回に引き続き、HIROMARU PROJECTの藤井大樹(ふじい・ひろき)さん、藤田圭子(ふじた・けいこ)さんにお話をうかがいます。
今回はHIROMARU PROJECTと並行して活動している、仏教座談庵「いろり」についてお聞きしました。
 

 
仏教座談庵「いろり」HP
https://irori-bza.studio.site
 
 

「悩み」にみんなで向き合う、オンラインの座談会

 
――仏教座談庵「いろり」は、どういった活動なのでしょうか?
 
藤井大樹さん(以下:藤井):テーマに沿って、僧侶や僧侶じゃない人がみんなで話し合う、オンラインの「話し合い法座」です。話し合い法座とは、僧侶が話す側、集まってくださる方を聞く側とするのではなく、お互いに話し、聞くことで一緒にテーマについて考えていくことを大切にした法座ですね。
誰か一人が話すだけでなく、他人がリアクションしながら聞いてくれることで、思いがけない自分の良いところに気づけるところが、「いろり」の良いところだと思っています。
 
――始められたきっかけ、実際の流れを教えてください。
 
藤井:こちらもおてらnaマステ同様、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて始めました。
話し合いにはZoomを活用しています。オンラインならではの気軽さもありながら、テーマや話の運び具合によって内容の濃い会にもなります。
手順としては、会が始まったら「場の約束」を確認します。
 

場の約束① みんな同じ立場で
全員が話をできるように場を整える係として、進行は僧侶が務めます。質問の回答者でもなく、先生でもないので、〇〇さんと気軽に呼んでもらいます。
 
場の約束② 話し合って聞き合って、自分を深めましょう
話す時間と同じように、聞く時間も大切。話し合い法座は、良し悪しを決める場でありません。また全員が納得するような答えを出す場でもありません。話し合いを通して、ご自身を深める場です。
 
場の約束③ 話は置いて帰ります
1番大事なこと。聞いたことや話したことはこの場に置いて帰ります。参加した感想や参加して気づいたことをSNSなどで発信するのは大丈夫ですが、個人情報や個人の尊厳に関わることを持って帰って拡散することは厳禁としています。

 
これらを大切にしながら、進行役などの役割を毎回変えて話し合いをします。そうして話し合った後は振り返り。「自分の中に問題提起はありますか?」と、自分自身とみんなの振り返りの時間とします。
 
――どのような方が参加されているのでしょうか?
 
藤井:参加者は僧侶と僧侶じゃない人が半々くらいですね。多いときで15人、少ないときで2、3人来てくださいます。SNSで広報しているので、そこから見つけてくださることが多いですね。
 
――話し合いで取り上げられるテーマにはどのようなものあるのでしょうか?
 
藤井:第一回のテーマは「幸せって何?」でした。それから第二回「自分らしさってなんだろう」、第三回「苦手な人嫌いな人」、それから「私にとって大事なもの」、「仏教的人づきあいを考えよう」、「孤独について」、「コロナと私」……と続いています。どれも、人とのつながりの中で見えてくる悩みや、ふと吐露したいような気持ちをテーマに企画者側で考えています。
 
――仏教座談庵「いろり」を始めて、感じたことなどがあれば教えてください。
 
藤井:広報の難しさでしょうか。こちらが思っているより、SNSでは意図が伝わりにくくて、広報しているつもりになってしまいます。でも同時におもしろさもあります。拡散されればされるだけ繋がる人の範囲が広がって、僧侶以外の方とも簡単にコミュニケーションが取れますし、関わる人が増えれば増えるだけ気づきも増えます。
また、言葉遣いの難しさも感じますね。誰かの言葉が不快に感じたとき、初対面の人が多い場合は特に「あなたのこの言葉が不快でした」などネガティブなことは言えませんよね。なので、念のため事前に僧侶だけ集まって模擬練習をするんです。この表現はやめたほうがいいとか、この言い方では伝わりにくいんじゃないかとか、そういう話し合いをしてなるべく気持ちよく参加してもらえるようにしています。
 
――藤田さんはいかがですか?
 
藤田圭子さん(以下:藤田):ファシリテーターとして、それぞれが作られる雰囲気を見ることがすごく勉強になっていますね。テーマによっても雰囲気は変わりますが、楽しい感じから真剣な空気感まで、その時々にちょうどいい雰囲気を演出できるファシリテーターさんが多いです。
 
藤井:たしかに。私は雰囲気作りももちろん、雰囲気を読み取る力も学びましたね。いろりで学んだ雰囲気を読み取る力を活用していると、門信徒の方々ともだんだん深い話ができるようになりましたね。また、これまでは一方的にみ教えをお伝えする場だった法座も、互いにみ教えを味わい合う参加型になりましたね。そうすると自然と飛び交う言葉の一つひとつを大事にするようになりますよね。
 
 

「お坊さん」と「悩み」に向き合うことで生まれるもの?

   

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掲載日: 2022.10.18

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