手のひらから広がるご仏縁|釈優希さん(中村有希さん)インタビュー<前編>
(画像提供:中村さん)
先日は、大阪府八尾市の光明寺で行われている「ヒカリ子ども食堂」の様子を、同寺衆徒の釈優希さんこと、中村有希さんのインタビューを通してお届けしました。
そんな中村さんは、お寺の外でも精力的にご活動されているそうです。今回は、引き続き中村さんに、ご活動の様子をお伺いしました。
暗い子どもたちの食事情に差し込む一筋の“光”|ヒカリ子ども食堂―大阪府光明寺
中村さんプロフィール
――中村さんは、光明寺での「ヒカリ子ども食堂」以外にも、さまざまなご活動をされていますよね。例えば、どんなご活動をされていますか?
中村有希さん(以下:中村):ヒカリ子ども食堂の他にもさまざまな活動をしています。最近注力しているのは、SNSによる情報発信と、大阪の西成区でのお弁当配り活動ですね。
お坊さんによる、イマドキの情報発信のあり方とは?
(画像提供:中村さん)
――SNSといいますと、TwitterやFacebookといったツールを活用した情報発信ということでしょうか?
中村:そうですね。TwitterやFacebookも活用していますが、どちらかというとInstagramとTiktok、YouTubeに注力していますね。
――それぞれのサービスにおける、使い分けはありますか?
中村:Twitterは僧侶の方も多数利用されていますので、主に僧侶の方々とコミュニケーションをするために使っています。
Instagramは、私がいちばん最初に始めたSNSで、私の僧侶としての日常のことや、仏教のみ教えのことを写真や動画で発信しています。一方、Tiktokでは1分以内の短めの動画で、特に20歳〜50歳の方々に対して、現代社会でも参考になる仏教の知恵や知識を発信しています。YouTubeでは「小僧の日常」と題してVlogを投稿している他、住職である母との対談形式で仏教に関する動画を発信しています。総評すると、Twitterでインプットして、InstagramとTikTok、YouTubeでアウトプットしているような感じですね。
――InstagramとTikTokで発信する内容を分けているのですね。
中村:そうなんです。というのも、両者の特性が少し違うんですよね。Instagramはご自身が興味を持ったアカウントをフォローすることで、タイムライン(スマートフォンであれば、アプリを立ち上げて最初に出てくる画面)にそのアカウントからの新着情報が流れてくるようになります。つまり、何かしら私や仏教に興味を持ってくれる人がフォローしてくださるんです。
一方、TikTokは能動的にフォローしなくても、運営側のアルゴリズムによってタイムラインに「おすすめ」としてフォローしていない方の情報も表示されるようになっています。逆に言うと、おすすめとしてアルゴリズムにピックアップされるには、どういう情報を発信すると良いのかを考える必要があります。生きづらい世の中なので、同じ世代として共感できるような内容を心がけていますね。
――メディアを積極的に活用されて、どういった成果がありましたか?
中村:お寺に来てくださる人が増えたのが嬉しいですね。これまでは門信徒の方々が中心でしたが、2022年は10人ぐらいSNSがきっかけでお寺へ来てくださりました。中には遠方から来られる方もいらっしゃり、大阪へ来た時に立ち寄ってくださります。
また、InstagramやTikTokでは「お仏壇を我が家に迎えました」、「これからは毎日仏壇に手を合わせます」といったコメントも寄せられており、新たなご縁を実感しています。特に、TikTokを始めた当初は浄土真宗に馴染みが薄い人ばかりでしたが、最近は「南無阿弥陀仏」というコメントも多くみかけるようになりました。もちろん私だけの成果ではありませんが、SNS上でもお念仏が広がっていて嬉しいですね。
最近は「御縁帳」というものを作成し、SNSでもそのことを発信しています。すると、御朱印がお好きな方を中心に多くのコメントを頂戴し、SNSの効果を実感しますね。