出世[しゅっせ]の意味とは?【くらしの仏教語豆事典】
出世[しゅっせ]…この世に仏が出られたこと
「立身(りっしん)出世」という言葉があります。
「立身」は身を立てる、立派な人に成るという意味で、
「出世」は世に出る、成功して名声を得るという意味ですから、
立身出世は社会的に高い地位につき、
世間に名を上げることです。
明治期の青年の多くがこれを目的として努力したといいます。
出世とは、本来、
仏が衆生(しゅじょう)【※】を救うために、
仮に人間の姿となって、
この世に出現されることをいいます。
「仏出世本懐(ぶつしゅっせほんがい)」などと説かれるのも、この意味です。
また、世間的なことを超える意味で、
迷いの世俗の世界を越えて仏道に入り、
修行者になることを、「出世間(しゅっせけん)」とも出世ともいいます。
日本では、公卿(くぎょう)の子息が
出家した場合に出世と呼ばれました。
普通の者より昇進が早かったそうで、
転じて僧が高い位に昇り、
大寺院の住持(じゅうじ)となることを指すようになり、
それが一般にも広まったようです。
【※衆生(しゅじょう)】
サンスクリット語「サットヴァ」の訳語で、
生存するもの、命あるもの、
生きとし生けるものなど一切の生物を意味する。
しかし、一般には人間を指す場合が多い。
なお、「衆生」は旧訳で、新訳では「有情」と訳す。
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掲載日: 2012.12.31