アパレルブランド・パタゴニアによる環境問題への取り組み|パタゴニア京都インタビュー<前編>

 

■環境問題の解決手段としてのパタゴニア

 

 
――パタゴニアにとって自然環境の保護は「そもそもの目的」、存在理由ということでしょうか?
 
森井:そうですね。イヴォン・シュイナードは地球や自然環境が存在しなければ人間は生きていけないし、そうなるとビジネスも存在できない、と言います。
 
――イヴォン・シュイナード氏はなぜそういった考えに至ったのでしょうか?
 
森井:イヴォン・シュイナードの手記が出版されているんですが、それによるとクライミングがブームになるにつれて、岩壁がどんどん壊されていくのを見て、それを守りたいと思ったんだそうです。それで最初は地域の小さな環境問題を解決する活動をしていったんですが、それを重ねるうちに考えの規模が大きくなっていきました。
 
例えば1988年ボストン・ストアで、従業員が体調不良を起こしたんですが、よく調べてみると製品に使われているコットンに付着していたホルムアルデヒドが揮発したことが原因でした。それを知った彼は、コットンなど衣料に最もよく使われる繊維の環境への影響について第三者評価を委託しました。そして、一般的な栽培法によるコットン畑が、農業全体で使用される化学防虫剤の22.5%と殺虫剤の10 %を占めていることを学び、その後自社で使用するコットンを全てオーガニックコットン、つまり農薬を使わず、環境への負荷が少ない方法で栽培されたものに切り替えたんですね。こうした積み重ねが大きくなり、やがて今のパタゴニアを形作っていきました。
 
篠:イヴォン・シュイナードはパタゴニアの前身となるシュイナード・イクイップメントという登山道具の会社を起こしています。メンバー全てがサーファーやクライマーなどのアウトドア愛好者で、自分たちの体験として自然環境が壊されているのを知っているんですね。自然環境を守りたいという思いが経営の中心に位置づけられたことで、現在のパタゴニアがあると言えます。
 
――つまり、環境問題の解決のためにパタゴニアという手段があることでしょうか?
 
森井:そうですね。環境問題を解決するためにビジネスを行なっていくというのは、おそらく他の企業とは逆でしょう。個人的な話ですが、僕自身もパタゴニア京都での事業を通じて、環境問題に対する活動を行なっていくようにしています。
 
――イヴォン・シュイナード氏はもともとクライマーであり、山を登るための道具を製造、販売される会社を経営されていた、という事ですよね。そこからどのようにして今の形へと展開していったのでしょう。
 
篠:イヴォン・シュイナードのビジネスのスタートは、市場に自分たちが納得のいく登山道具がなかったことです。彼は「それなら」と自分と仲間のために納得のいく道具を作り、それを販売し始めたんですね。
 
森井:ですが、イヴォン・シュイナードは、ある時自分たちの作っている道具が、環境破壊の元凶になっていることに気付いたんだそうです。
自分たちのやっている事が環境を悪化させている。それを改善したいという思いから始まって、岩壁を傷つけるピトン(クライミングで使用するくさび)を使わないクライミングの仕方や、そのための道具などを広く販売して、環境が破壊されていくのを防ごうとしたんですね。
そういった体験の積み重ねがビジネスを通じて環境を守っていくという、パタゴニアを作ったんだと思います。
 
 

パタゴニアの仕事と、その姿勢

   

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掲載日: 2021.09.04