アパレルブランド・パタゴニアによる環境問題への取り組み|パタゴニア京都インタビュー<前編>

 

■パタゴニアの仕事と、その姿勢

 
――パタゴニアの商品を購入される方は、やはりアウトドアを楽しまれる方々が中心なのでしょうか?
 
森井:おっしゃるとおり、クライマーなどアウトドアに興味がある方の割合は他のアパレルブランドより大きいと思いますが、オシャレが好きな方や、アパレルが好きな人もたくさんいらっしゃいます。環境問題の解決のためには、環境に興味のある人やアウトドアに興味のある方だけでなく、どちらかといえば環境問題を意識していない方にもお店に来ていただいて、そうしたことに興味を持っていただければ、と考えています。
 
――活動を広めるために、まだ環境問題を意識していないような人もターゲットにしておられるんですね。
 
森井:環境への意識が高いお客様もいらっしゃいますが、そうした人は僕たちが働きかけなくてもご自身で行動される事が多いです。環境の事に興味がない人にも、パタゴニアの服が好きだから、かっこいいから、といった理由でもお店に来ていただければ、そこから接点ができて話が広がっていきます。ですから、そういった人にも来ていただけるようなお店づくりも重要なポイントです。
 
ただ、テクニカルな製品づくりを考えるうえで対象ユーザーとしているお客様は、アウトドアを楽しまれる人です。僕たちはそうした方々には特に満足してもらえるような、機能的な製品を作っています。
 
篠:私たちは単純にモノを作るだけではなく、クオリティ・耐久性ともにすぐれた製品を製造し、販売する責任があります。また、お客様にそれを長く使っていただくためにリペアなどのサービスを提供しています。こういった大量消費を防ぐアプローチは他の企業とは違うところだと思います。
 
――企業というと、どうしても売り上げや利益を重視せざるを得ないイメージがあります。その中においてもクオリティや理念を重視し続けることは難しいと思うのですが、そういったことは社員同士で議論されたりするのでしょうか?
 
森井:売り上げを何が何でも伸ばすというような話は、スタッフの中からは出てきませんね。製品の品質を最大限に高めることや、作る際に環境への負荷を最小限にとどめること、製品を作るために働く人の労働環境をきちんとしたものにすることなど、他の企業ではコスト削減の対象になりやすい部分をしっかりする事によって、販売する僕たちも胸を張ってお客様に接する事が出来ます。正しい事をしていれば売り上げは後からついてくるといった考え方なんです。
 

<編集後記>

環境問題の解決に意欲的な企業、パタゴニア。
その背景には、創業者イヴォン・シュイナード氏のクライマーとしての体験と、「地球や自然環境が存在しなければ人間は生きていけないし、そうなるとビジネスも存在できない」というシンプルな信念がありました。
この姿勢は私たちの生き方を問うているようにも感じます。私たちは、きちんと目的のために生きられているでしょうか。手段に踊らされてはいないでしょうか。
 
後編記事ではパタゴニアの考える再生可能エネルギーの導入と選択について、引き続き森井さんと篠さんよりお話を伺います。
 

 

プロフィール

 

森井 正次
アウトドア好きが高じて10代からカヤックインストラクター、登山ガイドを生業にする。年々悪化する自然環境を肌で感じ、環境保護活動に熱心な企業理念に惹かれ2012年パタゴニア入社。2017年からパタゴニア京都店で「環境社会活動責任者」として京都を中心に、環境や社会問題をビジネスを通じて解決する方法を模索している。滋賀県在住、趣味は渓流釣り。

 

 

篠 健司
1988年、米アウトドア・ブランド、パタゴニア日本支社に入社し、広報、店舗運営などを担当。一旦、同業外資他社で2年間勤務するも再び入社し、環境団体の支援プログラムを担当した後、コアバリューのひとつ「不必要な悪影響を最小限に抑える」を実践するために、再生可能エネルギーを含む環境・社会責任のある調達、ゼロ・ウィストなどのサステナビリティを担当している。社外ではアウトドア業界の自然保護基金である一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン監事、公益社団法人日本自然保護協会理事。休日は身近な自然の中でトレイルランニングを楽しんでいる。

 

   

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掲載日: 2021.09.04